『多田ゼミ同人誌・研究紀要』16号、p.4-5、多田の巻頭言の全文を公開いたします(一部修正・改変あり)。ご笑覧ください。

巻頭言 5か月ぶり刊行!〆切後の時間経過へのおわびと釈明:4学期週2授業、概論・理論の内容・レジュメ・パワポ整備を終えて  多田 治
長らくお待たせしました。『多田ゼミ同人誌・研究紀要』、待望の16号をお届けします。皆さんには原稿を9月下旬に出してもらいましたが、秋学期の週2授業「社会学理論」が始まり、その準備に追われて全く手がつけられないでおりました。今年は5年ぶりの科学研究費補助金の申請作業もあったので、10月は非常にハード、毎日〇時間(裁量)労働、1日も休めない状況が続きました。
実は〆切時点で、およそこうなることもわかっていたのですが、9月中の〆切は、皆さんの作業上の便宜も考え、それぐらいの時期に一度設定したほうがいいだろうと判断してあったのです。とはいえ、せっかく〆切に間に合わせて出してくれたのに、長らく先延ばしにして、申し訳なく思っています。その間、私はずっと心苦しい気持ちでいました。静かに待っていてくださった皆さん、誠にありがとうございます。
今年は他にも複数、重めの役職を抱えてしまい、そこへ週2授業だから、時間的にも気持ち的にも余裕のない日々が続きました。でも11月に入り、学期も変わったので、一つずつたまった仕事を片づけていけそうです。
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もう20年近くこの仕事を続け、毎年授業をやってきているはずなのに、なぜいまだに、こんなに授業準備に追われているのか?ふと我に返り、自問することもしばしばでした。4学期制になって2年目ですが、従来は社会学理論の担当のみのところ、昨年度から新カリキュラムで社会学概論も担当、負担が増えました(非常勤講師カットも影響)。かつての理論の内容を2つに割りました。加えて昨年の夏~秋には急ピッチで『社会学理論のプラクティス』を編集・刊行(1周年おめでとう!)、社会学理論のテキストにしました。ですがまだまだ1年目は未整備な点も多く、正直あら削りでした。そのため今年は夏~秋学期の期間、6月からずっと授業のコンテンツと教材を整備する作業が続きました。
難解と思われがちな社会学の理論や学説、歴史への視点を、どうすればもう少しわかりやすく伝え、親しみをもってもらえるだろうか。この5か月、いろいろ新しいやり方を試してみて、わりとうまく行ったんじゃないかと思ってます。
特に大きな変革が3つぐらいあって、実はいずれも本同人誌と関係しています。第一に、全内容に関してテキストとレジュメ(10.5⇒12ポイントに移行)だけでなく、パワーポイントを作成・導入しました。その際、ほとんどのスライドごとに写真・図を貼りつけ、ビジュアルに前へ引きつけ、理解や関心を視覚的に促す方向を目指しました。これは本同人誌のこれまでの経験で私がすでに、写真や図を多用しながら文章を書いていく習慣を確立してきたことも影響しています。何か見せながら語る形でないと、自分が気持ち悪いというか、足りない感覚をもつようになりました。IT化が進んだ今日、私たちは日々端末で文字を読む比率が高まっています。純粋に文字だけを読む比率は下がり、諸々の写真や動画、絵などと合わせて文字に目を通すのが普通になっています。そして一度進んだこの流れは、もはや二度と逆戻りはしないでしょう。パワポ・レジュメ・テキストの3段がまえ、ちょっとサービス過剰という気もしますが、自分に課した課題は、一応最後まで全部やり通しました。最後は時間の貯金がなくなり、もうギリギリの完成だったのですが。 

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第二に、本同人誌の私が書いた文章を、中間レポート教材に使ったこと。概論には14号総集編を、理論にはその後の文章を使い、(歌も含め)ジャンルも多様な非アカデミックの記事を活用したことで、観光の写真紀行や江戸・明治の歴史もからめて具体的な話題を豊富に持てたのは、大きかったですね。昨年度まで『多田ゼミ同人誌』は、ゼミの人だけが読める雑誌ということで、ほとんどの学生にはよくわからない、疎遠なものにとどまっていました。14号で多田総集編を出したことで、思わぬ一般的な用途が見出せました。歌も出すのは相当恥ずかしく勇気が必要でしたが、井坂さんと生ライブまでやるに至ったのですから、もう怖いものはありません。(笑)
第三に、学生の感想カードを毎回きちんと全部読み、次の回に共有価値の高い分を紹介する時間を毎回設けたこと。それまでは長年、TAの人にその作業はお任せでした(研究優先のため、として)。週2回100人全員分を読むのは結構キツイのですが、みんなの思考や関心がよくわかるし、何より自分が勉強になり、学生との距離も近づく(感想紹介の際は教壇にとどまらず、教室を歩き回りながらを心がけています)。学生たちも、他の人が何を考えているのか参考になるし、その時間が好きな人も多かったようです。中間レポートの紹介もいくつかして、これがまた好評でした。そういうレポートのフィードバックを得る機会も少ないらしく、「社会学的な考察」で他の人が何をどう書くかがわかると、参考にもなった様子。期末レポート採点はまだこれからですが、月木午前の授業が来週からないと思うと、正直ホッとする思いです。まずはこの16号を、急いで皆さんに届けます。