あの感動が今年もやってくる!一橋大学社会学部「社会学理論」。明日3日開講します。どしどし受講してください。

一橋大学社会学部「社会学理論」
冬学期・水曜日2時限 2単位
社会学理論 多田 治

【授業概要】
社会学理論」では、デュルケームウェーバーからフーコーブルデュー・ギデンズらまでの西洋の社会学の系譜をたどりながら、社会学的な視点・考え方を体系的に学ぶ。個々の理論が生み出された時代背景を重視するが、その歴史は単なる「過去」ではない。つねに「現在」の社会の諸問題と関係づけるアクチュアルな視点から、彼らの仕事を批判的に吸収していく。難しい理論も具体的かつ明快に解説し、自分たちの身近で切実なテーマに取り組むための、柔軟な発想と有益なヒントを模索していく。

【学部・学年の指定】

全学部2年生以上

【授業の目的・到達目標と方法】

社会学理論」では、デュルケームウェーバーからフーコーブルデュー・ギデンズ・ベックらまで、この100年余の間に社会学を作り上げてきた西洋の巨匠たちの系譜をたどりながら、社会学的な視点・考え方を、一挙に体系的に学んでいく。その際、彼らが繰り広げた研究・理論・思考の営みを、彼らが生きた具体的な時代の文脈の中に、置きなおして考えてみる。それによって、社会学史と社会史が連動し合って相乗効果を生み、社会と社会学のたえざる相関関係を、立体的に把握することができるだろう。

また、こうした歴史を決して単なる「過去」として切り離すのでなく、つねに「現在」の社会の諸問題と関係づけるアクチュアルな視点から、大物たちの仕事を批判的に吸収していく。その際、一見すると難しい専門用語や内容も、豊富な具体例とユーモアトークを通して、わかりやすく解説していく。それによって彼らの理論から、自分たちの身近にあって切実なテーマに今後取り組んでいくための、柔軟な発想と有益なヒントを得ることができる。

なお、こうした西洋の社会学理論を学ぶに当たっては、今日のグローバル化の諸問題を重視する立場から、こうした系譜そのものの中に通底する西洋中心主義的な見方を対象化し、相対化する批判的な視座を確保することも、念頭に置いて進めていくことにする。

特に今回、レポート文献『沖縄イメージを旅する』は、沖縄を具体的な事例にしながら、本授業で取り上げる論者たちの理論を豊富に取り入れて活用してある。これを早い時期に読んでレポートを作成しておくことで、本授業の理解をいっそう立体的・有機的にし、具体的で身近なものにしていくことができる。

【授業の内容・計画】

10/3  1.オリエンテーション

10/10  2.デュルケーム社会学に何を求めたのか?/「社会」「社会学」「客観性」とは?:E.デュルケーム 1895『社会学的方法の規準』岩波文庫 /社会的事実/集合表象
    自由と個人主義パラドックス:E.デュルケーム 1893『社会分業論』上・下、講談社学術文庫/1897『自殺論』中公文庫/1912『宗教生活の原初形態』上・下、岩波文庫/1922『教育と社会学誠信書房アノミー/聖と俗

10/17  3.宗教的禁欲が産み出した資本主義:M.ウェーバー 1904-05『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神岩波文庫/1920-21『宗教社会学論選』みすず書房(特に「世界宗教の経済倫理 中間考察」)/『権力と支配』有斐閣エートス/理念型
    合理化の現代版は、マクドナルド化?:M.ウェーバー→リッツア1993『マクドナルド化する社会』/1997『マクドナルド化の世界―そのテーマは何か?』早稲田大学出版部/『無のグローバル化明石書店 /官僚制/生の意味喪失

10/24  4.大衆社会論から消費社会論へ:フロム1941『自由からの逃走』東京創元社/リースマン1950『孤独な群衆』1964『何のための豊かさ』みすず書房ボードリヤール1970『消費社会の神話と構造』紀伊国屋書店/1981『シミュラークルとシミュレーション』

10/31  5.情報社会をタフにクールに生きる術:N.ルーマン 1984『社会システム理論』上・下、恒星社厚生閣/1973『信頼』/1975『権力』ともに勁草書房/複雑性の縮減/システムと環境/社会学的啓蒙/機能分化(特別講義を予定)

11/7  6.デュルケームウェーバー、客観性と価値判断など(講義と座談会を予定)
(この期間に『沖縄イメージを旅する』を通読、感想・考察レポートを11/14に提出。)

11/14  7.『沖縄イメージを旅する』特集

11/21  8.社会はドラマだ、自己は演出だ:E.ゴフマン 1959『行為と演技―日常生活における自己呈示』/1961『出会い―相互行為の社会学』/1961『アサイラム―施設収容者の日常世界』1963『集まりの構造―新しい日常行動論を求めて』(以上、誠信書房)/1963『スティグマ社会学―烙印を押されたアイデンティティせりか書房/視線と身体のコミュニケーション/印象操作/役割距離/儀礼的無関心/全制的施設
    私は誰? アイデンティティと社会の弁証法:バーガー、ルックマン 1966『現実の社会的構成』/1973バーガー、バーガー、ケルナー『故郷喪失者たち』/バーガー1967『聖なる天蓋』以上、新曜社 現象学的社会学/生活世界の複数化/リアリティとアイデンティティ

11/28  9.知と権力の結びつき:M.フーコー /まなざし/ディスクール(言説)/エピステーメー 1975『監獄の誕生』/1961『狂気の歴史』/1966『言葉と物』/1976-84『性の歴史1-3』(以上、新潮社)/1984ミシェル・フーコー1926-1984権力・知・歴史』新評論/1963『臨床医学の誕生』みすず書房/1969『知の考古学』河出書房新社

12/5・12  10・11.身体感覚のなかの社会/認知と承認をめぐる象徴闘争:P.ブルデュー 1970『再生産』/1979『ディスタンクシオン』/1980『実践感覚1・2』みすず書房/1980『社会学社会学』/1984『ホモ・アカデミクス』/1987『構造と実践』/1989『国家貴族』/1992『リフレクシヴ・ソシオロジーへの招待』/1996『メディア批判』/2002『ピエール・ブルデュー 1930-2002』(以上、藤原書店)     象徴暴力・象徴権力・象徴闘争/ハビトゥス/プラティック/場=界/資本

12/19  12.ハイ・モダニティと再帰性の時代:A.ギデンズ 1990『近代とはいかなる時代か?』/1991『モダニティと自己アイデンティティ』/1992『親密性の変容』/ベック、ギデンズ、ラッシュ1994『再帰的近代化』/1989『社会学』(而立書房)/自己アイデンティティ/親密性

1/9  13.文化のなかの政治と権力:カルチュラル・スタディーズ 脱領域的な知/メディアの生産・表象・オーディエンス/ジェンダー・人種・エスニシティ/グローバリゼーション/表象と空間/ポストコロニアル:S.ホール他1996『カルチュラル・アイデンティティの諸問題』大村書店/ターナー1996『カルチュラル・スタディーズ入門』作品社/吉見俊哉編『カルチュラル・スタディーズ』講談社選書メチエ/吉見俊哉『カルチュラル・スタディーズ』岩波書店/上野・毛利『カルチュラル・スタディーズ入門』『実践カルチュラル・スタディーズ』ちくま新書/本橋哲也『カルチュラル・スタディーズへの招待』大修館書店/花田他編『カルチュラル・スタディーズとの対話』新曜社/サイード1978『オリエンタリズム』平凡社/1993『文化と帝国主義』みすず

1/16  14.リスク社会と監視社会:グローバル化とネオ・リベラリズムの時代の社会学/ベック『危険社会』『世界リスク社会論』『グローバル化社会学』ライアン『監視社会』『9・11以後の監視』再帰的近代化/個人化/サブ政治/規律社会から管理社会へ/社会的オーケストラ化

1/23  15.全体総括 (この日に学期末レポート提出)

※以上は授業で扱う(または関連する)予定の主要な文献だが、授業では時間の都合上、あくまで概説にとどまる。さらに深く勉強したい人は、自分でどんどん本を読み進めよう。

【質問等の連絡先】

随時、メールにて受け付ける。

【テキスト・参考文献】

テキスト:多田治社会学理論のエッセンス』学文社

レポート文献:多田治『沖縄イメージを旅する――柳田國男から移住ブームまで』中公新書ラクレ(書名が下記と似ているので、間違えないこと) 参考文献:多田治『沖縄イメージの誕生――青い海のカルチュラル・スタディーズ東洋経済新報社

【他の授業科目との関連】

本科目は、多田担当の学部ゼミ・院ゼミ・院講義、すべての基礎となる内容であり、互いに連動している。これらの科目の関係者は、本科目とセットで受講しながら、これをベースにして取り組んでいくことが望ましい。

【成績評価の方法】

出席点・課題レポート・学期末試験を3分の1ずつ加算し、総合して評価する。

【成績評価基準の内容】

出席点は、無断欠席・遅刻は減点。課題レポート・学期末試験は、講義の内容を深く理解しつつ、自分なりの問題意識で、ある程度じっくりと練り上げた論を展開できているかどうかを見る。

【受講生に対するメッセージ】

本講義では、折にふれて様々なエピソードをまじえながら、楽しく濃密な場を展開していきたいので、多数の受講生の参加をお待ちしている。特に、社会学カルチュラル・スタディーズは「脱領域的な知」である。社会学を専攻する社会学部の人はもちろんのこと、他の学部で関心のある人も大いに歓迎しているので、どしどし気軽に来てほしい。

ただし、授業態度に関して、他の受講生や教員に迷惑をかけないよう、マナーを守って授業にのぞむこと。
原則として、全15回通して受け通せること、10時35分に教室に着席しておけること、居眠りや内職などせず、90分間集中して授業を聞けることを受講生に求める。特別な事情のない限り、授業中の教室の出入りは禁止する。携帯・スマートフォン・パソコン等の使用も禁止する。